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米財務省が、不良資産救済プログラム(TARP)について、直接投資を通じた金融機関への資本注入に使うことが好ましいとし、当初計画されていた住宅ローン関連の不良資産の買い取りには消極的な姿勢を示した、とのこと。
市場はネガティブに受け止めたようだが、自分にはそれなりに筋の通った決定なのかと感じられた。
そもそも住宅ローン関連の不良資産の買取は、銀行が潰れるのではという不安&銀行・証券・保険の株価下落→破綻→破綻によるCDS処理の世界的波及→世界中の金融機関の連鎖破綻、という世界恐恐を引き起こしかねない危機的な状況を回避するために、半ば強引に決定されたもので、市場に対する安心感をなんとか取り戻そうとする、当局のアピールの意味合いが強いものだったと考えることができる。
(今株価が下がっているのは、景気不安が材料と仮定した場合)前回の急落で金融不安はかなりの部分織り込まれたと見ることができ、銀行が明日明後日潰れる不安が後退したと考えることができるので、銀行の体力を増やすための金融機関のバランスシート改善から、個人消費の下支えにつながるクレジットや自動車ローンなどのノンバンクに資本注入するという考えにシフトしたのは、悪い判断ではないと思う。
ただノンバンク系の支援に必須になるのが、ローン金利の再設定。これが条件に組み込まれなければ、結局お金は企業にとどまり、個人消費を下支えする効果はなくなってしまう。
年初あたりの米金融機関の考え方は「とにかく不良債権を処理しよう」というものだったように思う。「ローン払えなきゃ財産差押えてとりあえず利益確保」という流れが強く、それが住宅差し押さえ率の上昇→在庫増加→住宅価格の下落→もう1レベル上の階層へのクレジット審査厳格化→プライム層のローン延滞率上昇→住宅差し押さえ→繰り返し、という悪循環が続いた。
で、これじゃもうだめだ、という状況にぎりぎりまで追い込まれたのが、米金融安定化法案が可決し、その後一気に株価が下落したころなのだと思う。追い込まれたことと、資本を国が下支えするという足場が固まったことで、金融機関もまずは住宅価格の安定化を目指し、利益が少なくなってもいいから、住宅ローンの条件を緩和し借り換えを進め、住宅を手放さなくてもよい方法を模索しはじめた。それらの代表が、ファニーメイ・フレディーマックや、シティの住宅ローンの借り手支援策なのだろう。
したがって、こういった考え方をノンバンクにもしてもらうことが重要であり、言い方は悪いが国という後ろ盾を大いに使って、利益が少ないながらもローン債務者にコツコツ支払ってもらえるぐらいの金利設定と期間を設けてやることが、個人消費の下支え、ひいては景気の下支えに重要になってくると思う。
次に自動車業界の支援について。これはおとといも述べたが、まずは業界再編した上で支援を仰ぐのが筋なように思う。金融機関については業界再編は単純に資本増強の意味合いが強く、本来であれば体力の増強やシナジー効果が生まれるはずの合併も、今では不良債権をくっつけただけの企業が生まれるだけなので、あまり意味はない。だが、自動車業界はどうだろう。
そもそもこの数年間、GM・フォード・クライスラーは経営的にあまり成功していたとはいえない。原油価格の上昇など、不利な環境があったこともあるが、トヨタをはじめとする小型車にシェアを奪われているにも関わらず、あまり抜本的な改革は打ち出してこなかった。最近ようやく小型車戦略をどこかの会社が打ち出した(はず。うろ覚え)ようだが、遅きに失するといった状況。だからといって、その状況に甘んじて改革を行わずに「潰れると失業者が大量に出るから、まずは金貸してくれ」という精神では、なんだかなぁ、というように思えてしまう。
ここで単純に資本増強されるのであれば、潰れはしないもののじりじり景気を下げる効果が発生すると考える。逆に業界再編が進み、適切な処理が行われれば、トレンドを転換させるパワーになりうると考えている。
3社が合併して、一転して大規模な小型車戦略を打ち出したりしたら、かなり面白い、とはおととい思いついた素人考えだが、これぐらいやってくれると市場関係者に「おっ」と思わせる効果はあるんじゃないかと思う。「アメリカン・ビーグル」社とかにして、他の会社に負けない、環境にも配慮して燃費も良い自動車を作り出して売り出せば、性能的には同程度であれば「これぞアメリカの自動車」という意識と「アメリカ国民として買おう」という気持ちが勝って、シェアを奪い取れたりしないものか。
同時多発テロのときもそうだったが、アメリカ国民は危機的状況に追い込まれると、その団結力を一層強固にして、(それが正しいかどうかわからないが)一方向にどんどん進んでいく強烈なパワーを持っていると思う。
また、もともとボランティア精神が高く、皆の状況を改善してやろうというポジティブな意思が強いようにも思う。
そう考えると、今は金融不安や景気不安で問題を引き起こした金融機関に文句ばかりをいっている状況のように見えるが、いざ「これじゃやばい」と思い始めたときの、「アメリカをなんとかしてやろう」という国民の力は無限大に思える。
日米貿易摩擦の時のようなあからさまな商品排斥はないだろうが、なんとなく「アメリカのもの」を嗜好する環境が強くなってくると、一気に消費回復・景気も回復とまではいかないながらも、もともと内需が強い国だからじりじりと体力をつけて、いつのまにか以前よりも強固な超大国ができあがるのではないか、と思うし、それが世界経済の安定につながるのであれば、そうなってほしい。
・・・そうなればもっと市場にお金が入り取引しやすくなるだろうという、のがぶっちゃけたところ。動きが落ち着いてきたら改めて流動性の重要さが意識されると思うので、できれば外国人投資家には戻ってきてほしいと思います。
参考URL
TARPは資本注入が好ましい、不良資産の買取りは消極的=米財務長官
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